・焼却処理について
昭和63年から平成元年に、鐘淵化学工業高砂事業所で5,500tの液状PCB廃棄物の高温焼却による熱分解処理が行われました。これは、PCBを製造した鐘淵化学が回収し、保管をしてきた液状廃PCBを1,450度の高温の炉内に噴霧して滞留時間約2秒間で熱的に破壊し、無害化する方法により行われ、分解効率99.999999%(エイトナイン)を速成しました。このように高温焼却による熱分解処理は、技術的に確立されています。
ただし、上記の事例は、保管事業者が自己責任において実施したものであり、営業目的で実施されたものではありませんでした。今までは、PCB処理に対して高度な技術力が必要であること、住民合意形成が非常に困難であったこと、国が出資するJESCOとの競合などにより、営業的に成立させることが難しい状況が背景にありました。
そこで、国では比較的安全性が高く、処理があまり進んでいない微量なPCB汚染廃棄物について、民間で処理することを方針とし、制度的に整備が進めやすいよう制度変更を行うとともに、施設の安全性を担保するため、焼却施設に関する構造的な基準を定めました。
具体的な焼却施設の構造については、国が定めた微量PCB汚染廃電気機器等の処理に関するガイドラインに準じることとなっています。このガイドラインは平成21年11月に発表され、これに準じて施設の整備を進めようとしています。
これによって、一般的な民間事業者はどのような施設をつくれば、微量PCB廃棄物を安全に処理できるか把握できるようになり、建設に係る費用や工程等の見通しが立てやすくなりました。
・JESCO(日本環境安全事業(株))について
旧環境事業団(特殊法人)の実施していたPCB廃棄物処理事業を継承して設立された政府全額出資の特殊会社です。国の監督のもと、全国5箇所(北九州事業、豊田事業、東京事業、大阪事業、北海道事業)にPCB廃棄物処理施設を設置し、保管事業者から委託を受けて処理事業を実施しています。