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はじめに


 PCBはダイオキシンの一種でもあり、安定性や耐久性、絶縁性、潤滑性、耐薬品性などの優れた性質からトランスやコンデンサなどの電気機器に大量に使用されていましたが、1968年のカネミ油症事件をきっかけにその毒性が大きな問題となり、2001年には「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」が制定され、トランスなどに使用された数百万トンといわれる大量のPCB廃棄物が2016年までに処理されることになりました。そのため、時間との戦いの中、大変な労力をかけて処理作業が行われているところです。

 ところが最近、これまでPCBを使用していないとされていた電気機器(トランス、コンデンサ、計器用変成器、リアクトル、放電コイル、OFケーブルなど)に数ppm〜数十ppm程度の微量PCBで汚染された絶縁油を含むものが大量に存在することが新たに判明しました。これらによるPCB汚染を防止するため、2009年11月に「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」が改正され、微量PCB混入廃電気機器等を対象としたPCBの無害化処理が義務づけられましたが、その処理も2016年までに終えなければならないため、時間的に解決困難な国家的な課題となっています。  

 こうした状況の下、弊社は2001年に環境賞(環境省、(財)日立環境財団、日刊工業新聞社)を受賞した光触媒によるダイオキシン分解・無害化技術を基に開発した光触媒洗浄液EP-01を使用した、ノズル交換式抜油と光触媒洗浄液の高圧バブリング洗浄、連続油水分離から成る、既存技術とは全く異なるコンセプトのPCB混入廃電気機器抜油洗浄システム「KPS-photpcatalyst」を開発しました。本システムにより、常温常圧というマイルドな条件で安全に経済的にトランスなどの微量PCB混入廃電気機器から極めて効率良くPCB混入オイルを回収できるだけでなくケーシングや金属類の内部部材をリサイクルすることができます。

 PCBは世界中で大量に使用されていたため、わが国だけでなく世界各国でPCB混入廃電気機器が大きな問題となっており、2028年(平成40年)までの処理が義務付けられています。本システムの開発により、我が国のみならず世界各国への普及を進めるとともに、それを通じて人類に貢献することを目指しています。

 

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